美容室・ヘアサロンの業界動向と消費者動向

2020年度の美容業界データ発表

2020年度の美容業界データが発表になりました。
今回は最新の各データから業界を読み解き、客観的な現状と傾向をみてみました。

美容室・ヘアサロン業界動向

■全国美容室数

2019年 247,578店
2020年 251,140店

■美容室新規開業数

2019年 13,474件
2020年 13,066件

前年比で全国の美容室の数は3,562件増えた事になります。
しかしながら、新規開業数と増加数から見ると約1万件の美容室が、1年で閉店していることが分かります。「サロン生存率」という説では、開店後1年以内に60%3年以内に90%が閉店するといわれています。

■全国美容師人数

2019年 523,543名
2020年 533,814名

約1万人の増加に留まっています。新規免許登録件数は2005年度をピークに年毎の増減はありますが、減っています。美容業界ではアシスタントからスタイリストにデビューするまでの期間として3年が最も多く、さらに3年での離職率が70%と言われていることから、スタイリストのアクティブ数は減少傾向です。店舗と同じように美容師も、「最初の3年間を生き残れるかどうか」が分かれ目になるようです。また、美容室1店における全国平均従事者数は、2.12名なので、新規開業の殆どが『個人店』になって来ている事が分かります。

■美容業の年間総売上高

年間総売上高は減少を続け、「マーケットは縮小しているのに、競合者は増えている」という、二重の厳しい状況であるといえます。売上高の減少は、顧客数だけでなく、来店の長期サイクル化や低価格化など客単価が下がっていることも要因となっています。

施術内容の変化

カット・カラー・パーマといった主要サービスが軒並み低下する一方、縮毛矯正・ストレート、エクステ、トリートメント、ウィッグ、ヘッドスパ、ヘアセットが増えています。中でも2005年度を境に主力のパーマネントがもっとも大きく下がっています。
年代別でみてみると、カラーとパーマは20代と50代が他の世代に比べ、高い使用率を示しています。トリートメントは50代が圧倒的に高い利用率を示しています。

消費者動向の変化

■美容室の男女利用の割合

9割の女性が美容室を利用し年代が低いほど利用割合がより高くなっています。男性も約3割以上が美容室を利用し20~30代については半数近くが利用しています。

■美容室を選ぶ理由

男女ともに「自宅や職場から行きやすい場所にあるから」、続いて「担当者の技術や提案が良いから」といった理由が最も多いです。「料金の目安が分かりにくい」「スタッフや客層が自分に合っていない」「口コミや評判が良くない」お店には行きにくいと感じるようです。

■美容室を探す情報源

「お店のSNS やホームページ」「家族や知人などの口コミや紹介」のほか、10~20代の女性は特に「予約サイトや店舗検索サイト」を使う傾向が最も顕著です。

美容業界・消費者の動向から具体的対策と改善ポイント

・ポータルサイトだけに頼らず自社集客できるツールの充実

・客単価・来店頻度向上のための仕組みづくり
・スタッフの質・技術力向上
・SNS などを活用した積極的な情報発信
・高齢化社会に対応したサービスの検討と地域との関わり
・原材料や水道光熱費などランニングコストの削減
・顧客・売上・スタッフ管理による業務効率

まとめ

美容業界は、美容室数、美容師数がともに増加傾向の一方、顧客数の減少、低価格化、利用率の低下と市場自体が縮小している厳しい業界です。しかしまだ、需要はあるのに掘り起こされていない顧客層もありそうです。

今後、日本の人口は減少し続けていきますが、高齢者だけは2025年には65歳以上が3,500万人を突破し、3人にひとりとなります。しかも60代女性は年間美容室へ行く回数や支出額でも見逃せない特徴をもった顧客層です。また利用頻度の低い40代や男性客などターゲットに合わせた企画を盛り込み固定客に取り込めると良いでしょう。

最も大事にしたいのは、美容室に来られるお客様とのご縁と一緒に過ごす時間

「より美しく・より若々しくいたい」という想いに寄り添い、SNSでは感じられない、そのサロンだけの感動、喜び、楽しさを実感させることが大切です。専門性・技術力・接客力などサービスの質を向上させるとともに、ほかのサロンにはない強みを開拓しましょう。そして地域に根差した経営と地域社会から期待される存在でいるために独自性を発揮・発信し続けていきたいものです。

改めて、ご自身のサロンを見つめ直してみてはいかがでしょうか。

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